素材生産や産業向けエネルギー供給に持ち直しの兆しが出てきた。
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素材各社の在庫調整が進んだ上、大口供給先である自動車や電機などの生産が下げ止まりつつあるからだ。ただ、景気の先行き不透明感は依然として根強い上、原材料価格の上昇に伴うコスト増なども懸念され、本格回復への道のりは遠そうだ。
◆減産緩和◆
「5月の鉄鋼生産はフル稼働時の5割程度だったが、6月は6割に戻した。7月も上向く」。
新日本製鉄君津製鉄所(千葉県君津市)の藤井康雄所長は、高炉の停止などによって続けてきた減産体制を緩和していると話す。
プラスチックの基礎原料を生産するエチレン工場の5月の平均稼働率も、前月を3・2ポイント上回る91・7%となり、8か月ぶりに90%を超えた。
エネルギー供給も底打ちしつつある。電気事業連合会が発表した工場など産業用の5月の大口電力需要(速報値)は前年同月比19・4%減で、減少率は3か月連続で改善した。
◆追い風◆
素材生産や電力供給が持ち直しつつあるのは、景気の底打ち期待や追加景気対策の効果などで、自動車や電機などの産業に薄日が差し始めたからだ。5月の国内の新車販売台数は前年同月比19・4%減と、減少率は前月に比べ9・2ポイント改善。1~4月の薄型テレビの国内出荷は前年同期比19・9%増の328万台と堅調だ。
さらに、石油化学各社が生産する汎用樹脂の輸出増は、中国の需要拡大が追い風となっている。
◆リスク◆
ただ、鉄鋼業界では「通常は6か月先の需要を見込んでたてる生産計画を、月ごとに検討する異例の状況」(大手)が続く。石油化学と異なり、鉄鋼のアジア向け輸出は低迷を続けるままだ。
ニューヨーク原油先物市場の指標価格は、4月時点の1バレル=50ドルから、最近は70ドル前後まで上昇している。エネルギーや原材料などの価格上昇を製品価格にうまく転嫁できなければ、新たな業績の圧迫要因となりかねない。(白櫨正一、瀬川大介)