「多重債務防ぐ」「500万人借りられぬ」
貸金業規制に関する金融庁の検討部会の議論が大詰めを迎えている。改正貸金業法の完全施行を6月に控え、予定通りの実施か、規制の見直しかを巡って意見が対立。金融庁は運用面で規制の一部緩和を模索するが、妙案は見つかっていない。(森田将孝)
金融庁「弾力運用」を模索
改正貸金業法は、消費者金融などからの多額の借り入れによる多重債務者の発生を防ぐことを目的に2007年1月から3段階で施行されてきた。検討部会は、6月の完全施行をにらんで規制が及ぼす影響などを点検するため、昨年11月から28日まで計11回の意見聴取を行った。
焦点となっているのは、利用者が借りられる範囲を年収の3分の1以内に抑える総量規制が完全施行で導入されることだ。消費者金融の利用者の大部分が属する年収600万円以下の世帯について、平均的な借り入れと返済の実態を考慮して「3分の1」を算出した。
検討部会では、弁護士らが「法律で多重債務者が減少しており、完全施行が必要」と主張。一方、業界団体は「約1000万人の利用者のうち、500万人程度が借りられなくなる」と反発、規制見直しを求めた。
議論が平行線をたどる中で、亀井金融相は6月の完全施行方針は崩していないが、「完全施行した場合の影響を極小化できるような工夫をする」(大塚耕平内閣府副大臣)と運用面での対応が必要との判断に傾いている。
しかし、具体策になると決め手を欠く。与党内には地域金融機関の個人ローン強化などで「受け皿」とする案も浮上しているが、金融界は「信用リスクが高い融資は無理」(地銀幹部)と難色を示している。
池尾和人・慶大教授の話
「消費者金融は全体像の把握が難しく、規制強化がもたらす影響を正確に予測できないが、総量規制などを完全実施する方針を変える事情は見当たらない。多重債務者の新規発生を防ぐという規制強化の趣旨を再認識すべきだ」